こんにちは。
「外国人雇用のセカンドオピニオン」ふくろう主任です。
「特定技能のスタッフ3人から、突然『一緒に転職します』と退職届を出された……」
これは、ある介護施設の施設長から実際にいただいたご相談です。
シフトの穴埋めどころか、現場の維持そのものが危うくなる集団離職。
施設長からすれば、「昨日まで普通に働いていたのに、なぜ急に?」という気持ちだったそうです。
しかし、年間150人以上の外国人スタッフと面談してきた私から言わせれば、
集団離職は決して突然起きるものではありません。
その前には必ず、小さな不安やモヤモヤがあります。
そして、そのモヤモヤが少しずつ積み重なり、
「このままここで働き続けて大丈夫だろうか」という確信に変わった瞬間、行動が始まるのです。
今回は、その心理的なメカニズムと、防ぐために大切な視点についてお話しします。
- 小さな不満は、人との会話の中で大きくなる
職場というのは、どれだけ規模が大きくても、実際に日常的に関わる人は限られています。
だからこそ、小さな不満や不安が生まれやすい環境でもあります。
これは外国人に限った話ではありません。
私たち日本人でも、「最近、職場の雰囲気が少し変わったな」
「このやり方、本当に大丈夫かな」そんな違和感を抱くことがありますよね。
そして、その気持ちは一人で抱えているうちは曖昧なままです。
ところが、誰かに話した瞬間に形を持ち始めます。
外国人スタッフも同じです。
休日や仕事終わりに仲間と話している中で、
「最近、シフトが減って少し不安なんだよね」
「自分だけじゃなくて、みんなも同じことを感じていたんだ」
という会話が生まれます。
最初は小さな不安だったものが、「やっぱり何かおかしいのかもしれない」という共通認識へ変わっていくのです。
- SNSは原因ではなく、背中を押す存在
外国人スタッフは、SNSを通じて同郷の友人や他施設で働く仲間と繋がっていることが少なくありません。
そのため、さまざまな情報が日常的に入ってきます。
ただし、SNSそのものが問題なのではありません。
今の職場に満足している人は、どれだけ魅力的な転職情報を見ても簡単には動きません。
一方で、すでに不安や不満を抱えている人にとっては、
「うちの施設は人間関係が良いよ」
「資格取得も応援してくれるよ」
といった話が大きな魅力に映ります。
中には少し話が盛られていることもあります。
それでも、不安を抱えている人にとっては新しい選択肢として強く心に残ります。
そして、一人では勇気が出なくても、「私も考えていた」「実は私も」という仲間が現れた瞬間、一気に話が進むことがあります。
施設側が違和感に気づいた頃には、すでに転職の意思が固まっているケースも少なくありません。
- 防げた境界線は「問題解決」ではなく「気づいているという姿勢」
では、このような連鎖を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。
大切なのは、すべての課題を即座に解決することではありません。
介護現場には人員不足もありますし、シフト調整にも限界があります。
すべてを完璧にすることは現実的ではありません。
しかし、「あなたの不安に気づいている」「そのことを放置していない」という姿勢を示すことはできます。
・「最近忙しい状況が続いているね」
・「シフトの件、今すぐは難しいけれど改善できないか考えているよ」
・「何か気になっていることがあれば教えてね」
そんな一言だけでも、人の受け取り方は大きく変わります。
人は不満があるから辞めるのではありません。
「何を言っても変わらない」「誰も気づいてくれない」そう感じたときに、職場を諦めてしまうのです。
まとめ:書類の「大丈夫」だけを信じない
登録支援機関の面談報告書には、「特に問題なし」「困りごとはありません」と書かれていることがあります。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
ただ、その言葉だけで安心しきってしまうのは少し危険です。
本音は必ずしも面談の場で語られるとは限りません。
むしろ、仲間との会話の中で「自分だけが感じていた不安ではなかったんだ」と確信を深めていくことがあります。
だからこそ、施設側には「問題が起きてから動く」のではなく、「小さな違和感の段階で気づく」視点が求められます。
もし今、
「最近、外国人スタッフ同士で何か話していることが増えた気がする」
「現場の雰囲気が少し変わってきた気がする」
そんな小さな違和感があるなら、それは決して気のせいではないかもしれません。
ぜひ一度、「ふくろう主任」にお聞かせください。
離職は突然起きるものではありません。
だからこそ、まだ間に合う段階で現場の空気を整理し、
外国人スタッフも日本人スタッフも安心して働ける環境づくりを一緒に考えていきましょう。

