こんにちは。
「外国人雇用のセカンドオピニオン」ふくろう主任です。
「他の紹介会社さんから特定技能の外国人を採用することになったんだけど、
ビザ申請やその後の支援はやっていないと言われて……。
ふくろう主任のところで、手続きや支援だけをお願いできませんか?」
ある介護施設の施設長から、そんなご相談をいただいたときのお話です。
送られてきた2名分の履歴書に目を通すと、失礼ながら、日本語レベルが特別高いわけでも、
介護経験が豊富なわけでもありませんでした。
「どうしてこの方たちを採用することに決めたのだろう?」と疑問に思い、
少し背景を伺ってみることにしたのです。
すると、そこには「一刻も早く人が欲しい施設」と「売れば終わりの紹介会社」が生んだ、切実な構造のズレが隠されていました。
- 日本人スタッフの大量退職と、焦りの中で選んだ「安い紹介会社」
実はその施設では、経営状況の厳しさから大幅な給与改定(各種手当の減額など)が行われた直後でした。
その結果、この1年でベテランを含む日本人職員が10名以上も退職してしまっていたのです。
現場はまわらない、でも採用コストはかけられない。
そんな極限の焦りの中にいた施設長のもとに飛び込んできたのが、
「うちは紹介手数料をどこよりも安くしますよ!」という、ある紹介会社からの提案でした。
藁をも掴む思いで、施設長はその紹介会社を通じて外国人2名の採用を即決。
しかし、いざ私たちが間に入ってビザ申請の手続きを進めていくと、思わぬ事態が発生します。
1名のスタッフから、「実は健康上に問題を抱えていて、日本での仕事はできそうにない。
今回の内定を辞退したいです」と連絡が入ったのです。
慌てて元の紹介会社に事実確認をとってもらいましたが、結局、入社直前での辞退となってしまいました。
- なぜ「健康チェック」すら漏れてしまったのか?3つの原因
今回は入社前の辞退だったため、金銭的な実害は最小限で済みました。
しかし、それまでに費やした時間や、現場が待ち望んでいた「人手」のロスは計り知れません。
なぜ、このような事態が起きてしまったのか。
ふくろう主任の視点で整理すると、原因は「3つの小さなズレ」が重なったことにあります。
① 「紹介のみ」で、入社後の責任を持たない契約
その紹介会社は「紹介後のフォローを前提としない契約形態(ビザ申請や入社後の支援はしない)」というビジネスモデルでした。
つまり、入社後にその外国人が健康に働けるか、現場に定着するかどうかは彼らの売上に関係ありません。
「安さ」の裏には、こうした「責任の範囲の狭さ」が隠れていることが多いのです。
② パターン化し、形骸化した「オンライン面接」
紹介会社が主導するオンライン面接は、往々にして毎回同じパターンの質問になりがちです。
外国人の候補者側も、事前に「想定質問」を猛練習して臨むため、画面越しでは日本語がとても上手に、
健康で元気そうに見えてしまいます。紹介会社側も早く成約させたいために、あえて突っ込んだ質問や、
その人の健康状態、生活背景に深く切り込むヒアリングをしていなかったのです。
③ 経営の焦りからくる「見極め」の省略
日本人の退職が続き、一刻も早く穴埋めをしたかった施設側も、「安くて早く来てくれるなら」と、
相手の人間性や健康状態をじっくり見極めるステップを省略してしまいました。
まとめ:大事なのは「面接のあり方」と「紹介会社の見極め方」
今回のケースは、決してこの施設長や、体調を崩してしまった外国人本人が悪いわけではありません。
誰もが必死だった結果、構造的に起きてしまった悲劇です。
ただ、もしこれが「入社した後」に健康問題が発覚していたらどうなっていたでしょうか。
せっかく高い航空券代を払って来日してもらい、私生活のセットアップまでした後に働けなくなってしまったら、
損失は今回の数倍、数十倍に膨らんでいたはずです。
外国人採用において、「安さ」や「早さ」は確かに魅力的です。
しかし、
その面接は、相手の「練習してきた日本語」を見るだけで終わっていないか?
その紹介会社は、入社後の「現場の苦労」まで想像して人材を選んでいるか?
ここをシビアに見極める目を持つことが、結果として一番のコスト削減になり、施設を守ることに繋がります。
外国人採用は、
「人が足りないから急ぐ」
「なるべくコストを抑えたい」
そんな現場事情があるからこそ、
冷静な“第三者視点”が必要になることもあります。
「この採用、本当に大丈夫だろうか」
そんな小さな違和感がある時は、
一度立ち止まって整理してみる。
それだけでも、防げるズレは意外と多いのかもしれません。

