こんにちは。
「外国人雇用のセカンドオピニオン」ふくろう主任です。
「うちの外国人スタッフは、日本人スタッフとも馴染んでいるし、利用者さんからも可愛がられているから大丈夫」
そう感じている施設は、実際とても多いです。ただ、現場を見ていると、「人間関係は良好に見えていたのに、ある日突然退職につながる」ケースは、決して珍しくありません。
今回は、私が人材紹介・定着支援の現場で実際に見てきた事例をもとに、「なぜ、相思相愛に見えた職場で離職が起きるのか?」について、少し整理してみたいと思います。
※実際の事例をもとにしていますが、特定を避けるため一部内容を変更しています。
- 「すごく大事にしていたはずだった」施設の話
ある小規模な介護施設で、初めて特定技能外国人を受け入れた時のことです。
社長をはじめ、現場スタッフも本当に熱心でした。
- 実務者研修の費用は会社負担
- 休日に一緒に食事へ行ったり、生活面でも気にかけたり
外国人スタッフ本人も、利用者さんからとても可愛がられていました。「介護福祉士を取りたいです」そんな前向きな言葉もあり、周囲も「きっとうまくいく」と感じていたそうです。
ところが、入社から約1年後。本人から突然、「辞めたい」という相談が入りました。
施設側からすると、「こんなに大事にしていたのに、なぜ?」という感覚だったと思います。ただ、後から振り返ると、いくつかの“小さなズレ”が積み重なっていたようにも見えました。
- 「良くしている」ことと、「安心して働ける」ことは別だった
特に大きかったのは、「本人が何を重視して働いているのか」の確認が、最初の段階で十分ではなかったことです。
面接では、以下のような部分が評価されていました。
- 真面目そう
- 技能実習を3年間休まず頑張った
- 性格がおとなしい
もちろん、それ自体は悪いことではありません。ただ一方で、以下のような「生活設計」の部分までは、深く共有されていなかったようでした。
- 将来どれくらい収入を上げたいのか
- 家族への仕送りをどう考えているのか
- どんなキャリアを目指したいのか
「優しさ」は大事。でも、それだけでは不安が消えない
施設側は、本当に親身でした。ただ、本人からすると、
「いつ、どうなったら昇給するのか分からない」
「資格を取った後、給与がどう変わるのか見えない」
という不安が少しずつ積み重なっていたようです。
特に外国人スタッフの場合、「人間関係の良さ」と同じくらい、「将来設計」「収入」「評価基準」をシビアに見る傾向があります。
これは冷たいという話ではなく、“母国の家族を支える責任”を背負って来日している人が多いからです。
そのため、「可愛がってもらえて嬉しい」と「この会社で将来設計できる」は、別の話として考えているケースも少なくありません。
- 支援機関との“距離感”が難しくなることもある
途中、本人が転職を考えているらしい、という話が周囲から聞こえていた時期もありました。ただ、その段階で、
- 本人の本音
- 施設側の不安
- 現場の温度差
を整理する機会が、十分につくられなかったように見えます。
特に登録支援機関では、「支援」と「営業」の役割を同時に担っているケースも多く、結果として、本人との信頼関係づくりが難しくなる場面もあります。
誰かが悪い、というより、「誰がどこまで向き合うのか」が曖昧なまま進んでしまうことがあるのです。
まとめ:「優しさ」だけではなく、「見える仕組み」も必要
外国人スタッフの定着は、「どれだけ良くしてあげたか」だけでは決まりません。もちろん、人間関係や職場の温かさは大切です。ただそれと同時に、
- 評価基準
- 昇給の考え方
- キャリアの見通し
- 支援体制
など、「安心して働き続けられる仕組み」を、最初の段階から見える形にしておくことも重要なのだと思います。
もし今、
「うちの外国人スタッフ、本当はどう感じているんだろう」
「支援機関との役割分担が少し曖昧かもしれない」
そんなモヤモヤがあるなら、それは決して珍しいことではありません。
現場で起きている違和感を、感情論ではなく整理していく。このメディアでは、そんな視点を少しずつ共有していけたらと思っています。
