こんにちは。
「外国人雇用のセカンドオピニオン」ふくろう主任です。
「アットホームで家族のような職場です」
「みんな仲良く、人を大切にする教育体制があります」
求人票やホームページで、こうした言葉を目にすることは少なくありません。
もちろん、職場の雰囲気が温かいことは、とても大切です。
でも、ここで一つ考えてしてみてほしいことがあります。
「アットホーム」と言っているのに、なぜか人が定着しない。そんな施設が、実際にはあります。
なぜでしょうか?
私は、その原因の一つに、「人を大切にする」という言葉と、実際の仕組みや日々のマネジメントが噛み合っていないことがあると考えています。
今回は、「アットホーム」という言葉だけに頼らず、日本人・外国人を問わず、本当に人が長く働きたいと思える職場をつくるために、施設長が考えておきたいことをお話しします。
1.「アットホーム」が悪いのではない。問題は「具体的に何をするか」
まず、誤解のないようにお伝えしたいのですが、「アットホームな職場」が悪いわけではありません。
むしろ、職員同士が助け合い、困ったときに相談できて、安心して働ける職場は、とても素晴らしいものです。
問題なのは、「うちはアットホームだから大丈夫」「みんな家族だから、細かいルールはいらないよ」と、そこで思考が止まってしまうことです。
例えば、
・仕事を教える基準が人によって違う
・評価の基準が分からない
・頑張っても、何が評価されるのか分からない
・困ったとき、誰に相談すればいいのか分からない
・施設長やリーダーの「気分」や「さじ加減」で対応が変わる
こうした状態では、いくら「人を大切にしています」と言われても、スタッフは安心できません。
特に外国人スタッフの場合は、日本人なら何となく察することができる「暗黙のルール」が分かりません。
「ここまでやれば一人前なのか」「これを相談してもいいのか」「自分は評価されているのか」……そうしたことが分からないままだと、優秀な人ほど不安になります。
温かさには、仕組みがあってこそ意味がある。
これまでのコラムでお伝えしてきた「面談」「成長の階段」「教育の仕組み」「心理的安全性」などは、すべてそのためにあるのです。
2.「全員が辞めない職場」を目指さなくてもいい
もう一つ、施設長にぜひお伝えしたいことがあります。
それは、「誰一人辞めない職場」を目指さなくてもいいということです。
どんな職場にも、人間関係や仕事内容、働き方などの「相性」はあります。
どれだけ良い施設をつくっても、「自分がやりたい仕事とは違った」「もっと別のキャリアに挑戦したい」という理由で退職する人はいます。それは、必ずしも施設の失敗ではありません。
大切なのは、「辞めないように縛ること」ではなく、「ここで働き続けたい」と思える理由をつくることです。
例えば、
・「利用者様との関わりを大切にしたい」
・「資格を取ってキャリアアップしたい」
・「家庭と両立しながら長く働きたい」
・「後輩を育てる仕事にも挑戦したい」
スタッフによって、働く理由は違います。
だからこそ施設長が、「この人は何を大切にしているんだろう?」と、一人ひとりを見ることが大切なのです。
そして、その人が大切にしているものと、施設が提供できる環境を少しずつ重ねていく。
それが、本当の意味での「定着」につながります。
3.立派な制度より先に、施設長自身の「方針」を言葉にする
「うちには立派な教育マニュアルがないから……」
「評価制度を作らないと、人が定着しないですよね」
そんなふうに考える施設長もいらっしゃいます。
もちろん、仕組みは大切です。でも、私はその前に一つやってほしいことがあります。
それは、施設長自身が「どんな職場をつくりたいのか」を、自分の言葉で語ることです。
例えば、
・「私は、外国人だからという理由で仕事のチャンスが狭まる施設にはしたくない」
・「ベテランが新人教育を抱え込んで疲弊するような職場にはしたくない」
・「失敗したときに隠すのではなく、すぐ相談できるチームにしたい」
・「資格を取った人が、その先のキャリアまで描ける施設にしたい」
こんなことでいいのです。
最初から完璧な理念や行動指針を作る必要はありません。
むしろ、施設長自身の言葉で、「私は、この施設をこういう場所にしたい」と繰り返し伝えていくこと。
そして、その言葉と矛盾しない行動を、施設長自身が積み重ねていくこと。
そこから少しずつ、組織の文化が生まれていきます。
4.「言葉」と「仕組み」と「行動」が揃って、初めて信頼になる
例えば、
・「人を大切にします」と言いながら、新人教育をベテラン一人に丸投げする。
・「頑張った人を評価します」と言いながら、評価基準を本人に伝えない。
・「何でも相談してください」と言いながら、相談したら「そんなことも分からないの?」と言われる。
これでは、スタッフは何を信じればいいのか分かりません。
反対に、【 言葉 → 仕組み → 行動 】が揃っている職場には、少しずつ信頼が積み上がります。
・「新人を大切にする」と言ったなら、指導するベテランの負担も減らす。
・「成長を応援する」と言ったなら、次のステップを一緒に考える。
・「何でも相談してほしい」と言ったなら、相談されたときにまず話を聴く。
こうした小さな積み重ねが、「この施設長は、言っていることとやっていることが一致している」という安心感につながります。
そして、その安心感こそが、定着の土台になるのです。
まとめ:「アットホーム」より、「信頼できる職場」を
「アットホームな職場」という言葉は、決して悪くありません。
でも、本当にスタッフが長く働きたいと思う職場は、単に「仲が良い職場」ではありません。
・困ったときに相談できる。
・頑張れば、次のステップが見える。
・自分の努力を見てくれている。
・失敗しても、必要以上に責められない。
・施設長が、自分たちのことを本気で考えてくれている。
そんな「信頼できる職場」です。
そして、それをつくるのは、高価なシステムでも、立派な求人広告でもありません。
日々の小さな対話。一人ひとりを見ること。
そして、施設長自身が「どんなチームをつくりたいのか」を言葉にし、行動で示し続けること。
結局のところ、組織づくりは、とても泥臭い仕事なのです。
外国人スタッフが増えたから特別な仕組みが必要なのではありません。
日本人も外国人も、「ここで頑張っていきたい」と思える職場をつくる。
そのために必要なことは、実はとてもシンプルなのかもしれません。
・「制度はあるけれど、なぜか現場に浸透しない」
・「人を大切にしたいと思っているのに、スタッフとの距離を感じる」
・「外国人スタッフを含め、これからのチームづくりをどう考えればいいのか分からない」
そんなときは、ぜひ一度「ふくろう主任」にご相談ください。
表面的な「外国人雇用対策」だけではなく、施設長・ベテラン・新人・外国人スタッフ――それぞれが無理なく力を発揮できる、現場に根づく組織づくりを一緒に考えていきましょう。

